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【NEWS】pays des fées 2024 Spring/Summer collection アンダーウォータラウンド

pays des fées 2024

Spring/Summer collection

アンダーウォータラウンド

Under Wateround



ステートメントを執筆しました。


以下、全文掲載してみます。




🪼


Under Wateround…現代を「泳ぐ」ために


最初に断っておかなければならない。デザイナー・朝藤りむは極めて無意識的な創り手である。SNSを通じ一般人までもが時事問題や流行を浴びるように消費し、文字や画像、更には動画に消化してポストする時代。ことクリエイターに関しては時代の風に対して意識的にレスポンスする向きが多勢であろうなか、彼女の興味は直感を優先し気まぐれ、常にモードから自由だ。しかし無意識的なチョイスが時に意識的な創作以上に現実を照射し未来を予見することがある。衣服という身体に根差した表現であれば尚更、頭でこねくり回したものよりフィジカルなイマジネーションが重要になってくるだろう。


日本古来の神隠しや即身仏など、近年は神話や宗教といった歴史的題材に自身のファンタジーを織り込んできた朝藤の新作のテーマは「Under Wateround」。"underwater"と”underground”の混成語であるこの造語には、"水中"とカルチャーにおける"アンダーグラウンド"両方の意味合いが込められている。

或る日突然自分の父親を名乗る男があらわれ、男が奇怪な魚に生まれ変わったのをきっかけに街が水中に沈んでいく…日本を代表する前衛作家・安部公房の短編「水中都市」とデボン紀の奇妙な海洋生物たちからインスパイアされたという当コレクションは、日常の延長としての非日常を体現する。深海魚の鱗を思わせるけば立ちのジャガードや艶やかなサテン地のクロース、本物の貝や海藻を樹脂にうずめたアクセサリーなどを用いながらもストリートファッションを志向した新作の数々は、カジュアルとシック、ハレとケの世界を回遊魚のように行き来するが、それはアンダーグラウンドに出自を持ちながらオーバーグラウンドへの遊泳を恐れない彼女の姿勢と一致する。


近代以降"洋”服を受け入れて来た我々日本人にとって、欧米マナーのドレスコードを遵守した"シック"な装いは何処かよそ行き感のあるものになりがちだが、彼女にとっての"シック"とは"ハレ"であり、ファンタジーの入り口を指し示すものかもしれない。リアルクローズでありながらファンタジックな着想を得たアイテムの数々は、我々を"非現実(ルビ:フィクショナル)"な"現実(ルビ:リアル)"へと招待する。気がつけば過度な再開発によって高層ビルの立ち並ぶ都市は水中に沈み、世の中の空気は息苦しくなるばかりだが、イマジネーションの鰭を与えてくれるこれらのアイテムを身につければ、社会や世相といった重力からも解放され、海底から海上まで、自由に泳ぎきることができるかもしれない。


無意識的に、自然体に。pays des féesはいつも時代と遊ぶ。


松永天馬(アーバンギャルド)




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